「アル中」などと、一般的に揶揄されているアルコール依存症。
一度、アルコール依存症に陥ってしまうと治ることはないと言われています。
現在では精神安定剤や抗酒剤など、良質な薬が開発されていますが、アルコール依存症そのものを治癒させる薬は未だに無いのです。
しかし、アルコール依存症は「治る」ということはありませんが、一般的な社会生活を送るまでに「回復」することは充分に可能です。
実際に、一般社会で元気よく働いている人の中に少なからず、過去にアルコールの問題で苦しんでいた人が存在します。
ここではアルコール依存症が「治る」ことは無いが、「回復」はすることが出来ることを順を追って説明します。
この記事を読めば、アルコール依存症でも「回復」が可能であり、一般社会でも生きていけることがわかります。
この記事は
・アルコール依存症に悩んでいる人
・アルコール依存症で未来が見えない人
に向けて書かれています。
目次
アルコール依存症は「治る」ことがない?
冒頭でもお伝えした通り、アルコール依存症は「治る」ことがない病気です。
ここで、「治ることがない病気」と書いたのは、医学界でもアルコール依存症は「病気」であるということが認められ、さらに「治る」ことは無いという見解でもあるからです。
アルコール依存症に限らず様々な「依存症」は、「心の病」であり目に見える物理的な要因によって引き起こされるものではありません。
したがって、当然のことながら手術をすることは出来ませんし、患部に効果的な薬も存在していないのです。
一度でも個人の脳に刷り込まれてしまった経験は二度と修復はしません。
1週間や1ヶ月間の断酒に成功したとしても、再度飲み始めれば結局は連続的な飲酒行動につながってしまいまうのです。
物の本にある有名な言葉では、「たくあんが大根に戻ることはない」のです。
自分自身がアルコールに問題があると感じている方は、アルコール依存症のチェックテストをしてみると良いでしょう。
アルコールチェックテストは、以下の記事で可能です。
アルコール依存症者は一般的な社会生活を送ることが困難
アルコール依存症の症状を抱えたまま、社会的な生活をすることは困難を極めます。
そもそも、社会人の中では仕事中にお酒を飲むということは常識としてありません。
ただし、前の晩にお酒を飲み過ぎてしまって、二日酔いになってしまえば仕事に集中することが出来ません。
お酒は「残ってしまう」ので、就業時間に飲まなかったとしても、前日のお酒の影響は仕事にまで影響を及ぼします。
例えば、私は仕事に行くのがとてもつらい二日酔いの時は、さらにお酒を飲むことによって気分を高めさせて仕事先へ向かっていました。
当然のことながら、仕事仲間は私の酒気に気づいていましたし、仕事への集中力もなくし細かいミスを連発してしまいました。
上司や同僚からの叱責や冷たい視線によって、その日もお酒を飲まなければやってられない気分になりました。
そして、また深酒をしてしまうという悪いサイクルに苦しめられていました。
アルコール依存症は、こういった形で悪いサイクルを作ってしまうため一般的な社会生活を送ることが困難になってしまうのです。
アルコール依存症のエピソード1-お酒を呑むと気分が晴れる?
アルコール依存症のエピソードとして、お酒を毎晩呑むことが習慣化してしまった事を書かずにはいられません。
実際、お酒を呑んで二日酔いになると「酒鬱」のような状態になり仕事に行くことはもちろんのこと、ベッドから起き上がることすら面倒になります。
しかし、そんな無気力な状態でも、お酒を呑むことでシャキッとすることを覚えました。
なんとか仕事に行くために、ストロングゼロの500mg缶を一気に飲み干します。
するとどうでしょう。
さっきまでまったくやる気が無かったのに気分が高揚し、仕事意欲が出てきます。
私は、二日酔いだったとしても、テキーラやウイスキーなどの強いお酒や飲みやすいストロングゼロを一気飲みすることで仕事へのやる気を保っていました。
当然、職場に行けば私がお酒を呑んでいることはバレているのでしょうが、仕事に対するやる気がみなぎっています。
仕事に対する情熱を魅せることができれば、解雇にはなりません。
このことで味をしめてしまったしまった私は、毎晩のようにお酒を呑みに出かけては翌朝にお酒で二日酔いを紛らわす生活になりました。
アルコール依存症のエピソード2-お酒が切れると言葉にならないネガティブな気分になる
アルコール依存症のエピソードとして取り上げたいのが、お酒が切れるとネガティブな気分になってしまうことです。
お酒を呑んでいる時のあの全能感、運命をコントロールしているかのような気分にさえなりました。
にもかかわらず、朝起きてみると不快な気分になり、言葉にならないような恐怖感や不安感に襲われます。
昨晩の記憶がほとんどなく、思い出せるのは自分の恥ずかしい行動や言動ばかり。
何故か、前日に一緒に飲んだ仲間に電話をして「すみません」「ごめんなさい」などと謝るだけでした。
お酒を呑んでいる時のあのハイテンションはどこに消えてしまったのでしょうか。
お酒を呑んでいる時と、二日酔いの時との気分の格差があまりにも強く気分の沈み幅は底がありません。
自分自身は気分が沈んだ場合の解決策を知っています。
それは、お酒を呑むことです。
こうなってしまうと、気分を上げるためにお酒を呑むしかありません。
アルコール依存症のエピソード3-セロハンテープも使えない…
アルコール依存症に悩まされていた頃ですが、私はお酒が入っていないと常にパニック状態でした。
上司に言われた仕事の一つとして、ポスターを一時的に壁に貼らなければいけないことがありました。
ポスターを壁に貼るのは、セロハンテープです。
セロハンテープを使うことは、小学生になる前の子供でさえ可能です。
しかし、その時にはセロハンテープを切り取ることができませんでした。
セロハンテープのカッターでは、テープを切り取れずに焦ってしまい、さらにセロハンテープを使えなくなったのです。
周りで見ていた、上司は笑っていました。
当時の私は30歳前後です。
中年の男性がセロハンテープすら使えないのです。
焦りやパニックは、セロハンテープのような単純な作業すらもできなくさせます。
アルコール依存症になっても「回復」し社会復帰は可能
アルコール依存症になってしまっても、きちんとお酒を止めることが出来れば「回復」し社会復帰は可能です。
重要なことは、「お酒を一切飲まなければ」ということです。
アルコール依存症の問題を抱えている人の中には、数日間の断酒によって毎朝とても気持ちよく目覚めることが出来ることを実感できる人は多くいるでしょう。
1週間から2週間も続けて飲まずにいれば、体調部分はかなり改善されてくることが実感できます。
体調の改善は気持ちの改善にもつながり、職場での仕事にも集中することが出来るようになります。
体力面も精神面も安定した状態になれば、自分を取り巻く環境も大きく変わってきます。
職場の仲間や上司、クライアントなどからは信頼も得られるようになります。
もちろん、注意すべきなのは断続的にお酒を辞めていかなければいけないということです。
再度飲んでしまったら、そこからまたやり直しになってしまいます。
「では、どうやって断酒を継続するんだ?」と考える人もいるでしょう。
それにはいくつもの方法があります。
その具体的な方法はこちらの記事で説明しています。
ここでは、たとえアルコール依存症になってしまったとしても、明るく楽しい社会生活を送ることが出来るように回復することは可能だということを覚えておきましょう。
自分がアルコール依存症であることを認めること
自分がアルコール依存症であること、アルコールに問題があるということを認めることから「回復」は始まります。
当然のことですが、問題を認識していなければ、問題を解決しようという意識が起こらず解決には至りません。
実はこの認めるということが、最も重要であり多くの人が最も躓く部分でもあります。
多くの人が、この認めることを拒否することでアルコール依存症の状態を長く引きずってしまうことになるのです。
しかし、大丈夫です。
一度、自身のアルコール依存症の問題を認め、断酒を続けてみましょう。
そうすれば、心身ともに「回復」し、周りの社会環境も改善します。実際、私も5年の断酒を続けてこられていますが、1日ごとにすべてが改善されていくことを実感しています。
断酒を続ければ、これまで以上に人生を楽しく生きていくことが可能になるのです。