アルコールに問題のある人の周りからは、次々と人が去っていきます。
アルコール依存症者のようなお酒に問題のある人は、社会的に孤立していまうのです。
そして、この状況はアルコール依存症者にとって、最も危険な状態です。
失職して職場の人間関係がなくなり、友人や家族との関係も失くしてしまった人のなれの果ては想像に難しいことではありません。
アルコール依存症者は一般の人に敬遠されてしまいがちで、孤立は避けられないと思いがちです。
しかし、アルコール依存症者も孤立することなく、生命の危険も避ける方法はあります。
この記事では、アルコール依存症者が孤立していくメカニズムとその危険性、孤立を避けるために出来る対策法を解説します。
この記事は
・アルコールが原因で孤立してしまっている人
・アルコール依存症者で社会的なつながりを持ちたい人
に向けて書かれています。
目次
アルコール依存症者が孤立するメカニズム
アルコール依存症者が孤立するメカニズムは多々あります。
もちろん、酒場でのトラブルも人間関係を崩してしまいますが、それだけではありません。
仕事中でもお酒を飲んでいる人は、社内での信頼も失ってしまいます。
そういった場合は、解雇になってしまうか、自ら辞めるか行かなくなったりしてしまいます。
仕事を失ったとしても、家族や友人などのような利害関係のない間柄であれば大丈夫だと思う人もいるかもしれません。
しかしながら、そういった利害関係のない間柄でも、突然の感情を抑えきることが出来ずに自ら人間関係を破壊してしまいます。
疑り深い依存症者は他人の一挙手一投足に敏感になり、嫉妬や不安などが暴力的に作用してしまうのです。
自分を認めてもらうために新たな人間関係を求めることもあります。
そういった人々は、バーや居酒屋などのお酒が出る場所に新たな人間関係を求めがちです。
お酒を飲みはじめると、自然と会話も弾みます。
1時間も経てば、旧知の仲のようになりますがお酒が抜ければ何でもない、一緒に飲んだ人というだけの関係です。
同じ場所で何度も会うことで、いつの間にかトラブルに発展することなど日常茶飯事です。
私の場合は、言葉にするのは難しいのですが、人間関係の破壊を心の深い部分で「愉しんで」いる部分すらあったと思います。
アルコール依存症者は社会的な信頼を失い、そのことに納得が出来ずにさらに他人を傷つけます。
この悪いサイクルを繰り返し、いつの間にか孤立してしまっているのです。
アルコール依存症者が孤立するのは非常に危険
アルコール依存症者が一人で生活をしていて、いつの間にか死に至ってしまうということは多くあります。
本人の体調の変化を誰も見ていてくれないからです。
さらに、アルコール依存症者は、孤立してしまった自分への自責の念や激しいうつ症状から逃れるために、自ら命を絶とうとすることも多くあります。
こういった場合でも近くに誰もいなければ、助けの手を差し伸べる人もいません。
本人の意思や希望とは裏腹に自ら孤立してしまうにも関わらず、その孤立状態は自身にとって命を失うほどに危険な状態なのです。
一般的な人は依存症者の考え方についていけない
アルコール依存症者は人間関係を壊してしまうものです。
しかし一方で、破壊している本人が思っていることと言えば「なんで皆、自分のことをわかってくれないんだ…」といったようなことです。
決して他人を認めることはありませんが、自己承認の欲求はかなり強いのです。
しかし、急に怒り始めたり、泣き始めたり。
時には自傷行為に至ったりする人の考え方を、一般的な人が理解できることはありません。
理解を欲しているのは依存症者本人だけです。
しかも、一般の人から見ると奇行に映る行為のすべては、気を惹くための行為でもあるのです。
実際、私も自分を見てほしい、自分に同情してほしいなどと考えあらゆる手段を尽くしました。
しかしながら、そういった行為の全てが人々を困惑させさらに孤立化する行為となったのです。
思いつく限りの気の惹き方をしても、一般的な人は依存症者の考え方にはついていけません。
孤立を避けるために社会的なつながりを持つ方法
依存症者が孤立化するのが危険だとしました。
しかし、自ら人間関係を破壊し孤立化してしまうことを避けるにはどうすればよいのでしょうか?
特に飲酒の量や頻度が高い時期は、この症状を理解してくれる人とつながりを持つことが大切です。
具体的には、依存症の回復を助けている専門家の人々である医師やカウンセラー。
また、共通の問題を抱えている依存症者であり、回復をしたいと考えている人々。
対面が可能でないならば、SNSなども有効です。
共通の依存症の問題を持っている人が個々の悩みをSNSで告白したり経験を共有したりしています。
そういった人々であれば自分の依存症の問題を「理解」してくれるため、帰属意識が芽生えてきます。
その帰属意識こそ、社会的なつながりであり孤立を避ける方法だとも言えるのです。
専門病院の医師やカウンセラーに相談する
依存症の専門病院の医師やカウンセラーに相談するのも、孤独を避けるためには有効な手段です。
専門家は数多くの依存症者と話しており、多くの知識や経験を持っています。
さらに回復の手助けとなるような行動の指針や方法も教えてくれます。
何よりも、一般の人々よりもはるかに依存症の症状を理解してくれます。
私が初めて医師の診断を受けた時は、「末期のアルコール依存症」だと告げられました。
「このまま飲み続ければ、命を落とすことになる」とも。
私の場合は何となく気づいていたことだったので、あまりショックではありませんでした。
ここで大事だったのは、医師と話しただけでも気持ちが楽になったということです。
この医師からは「入院」か自助会を紹介されました。
私の回復への具体的な行動は、ここから始まったといってよいと思います。
AAや断酒会などの自助会に参加してみる
AAや断酒会などの自助会に参加することも、依存症者が孤立化から抜け出すための具体的な方法です。
専門の医師やカウンセラーに相談するのも孤立化を防ぐことが出来ますが、多少のお金を支払わなければならないことも事実です。
なんとかお金の支出を抑えながら孤立化を防ぐには、自助会はとても有効です。
基本的には募金や寄付をする伝統がありますが、お金がない人に強制させるようなものではありません。
自助会に集まっているメンバーは、共通の依存症の問題を抱えている人たちです。
何かを話す必要はありません。
単にその場にいること。
ほかの依存症の人々の経験を聞いているだけでも気持ちは楽になるでしょう。
不思議なことに人間は共通の問題を抱えている人々が集まると帰属意識が高まり、孤立化してしまっている場合でも安心感を得られます。
SNSなどのオンラインのつながりも利用する
外出をすることが出来ない状態の時や、対面で人に会うことを避けたい人はSNSを活用するのも有効です。
FacebookやTwitter、InstagramなどのSNSはオンライン所のコミュニティであるため登録は無料であり、直接人に会うこともありません。
自身の個人的な情報や隠したい情報は隠しておくことも出来ます。
さらに、「依存症」や「断酒」などのキーワードで検索することによって、共通の問題を持っている人とつながることも可能です。
こういった問題の解決法方法や経験を発信している人をフォローすることで、次第につながりも出来てきます。
自分からも発信するようになれば、他の人も自分の発信に反応してくれます。
そのため、会話も可能になっていきます。
もちろん、オンラインのコミュニティ内でもマナーはあります。
他の人を傷つけるようなことはやめましょう。
さらに、SNSで気を付けておかなければいけないのは、悪意のある人も存在していることです。
基本的に慣れないうちは、SNSから現実に会ってみるなどの行為を避けておけば大丈夫です。
依存症に苦しんでいるのは決して一人ではない
依存症に苦しんでいるのは自分一人だけではない、ということを覚えておきましょう。
これまでに説明したように、人ぞれぞれに状況は異なるものの依存症者は結果的に孤立化してしまいます。
この孤立化がさらに孤立化を起こし、社会的にも感情的にも孤独になってしまいます。
そして、この状態こそが最も危険な状態であり、多くの人がこの状態から抜け出すことが出来ずに一生を終えてしまうこともあります。
今の状態から抜け出したいと思うのであれば、ちょっとだけの勇気と一瞬の行動を起こすことが必要です。
出かけることすら出来ないとしても、横たわった状態でも携帯電話をみることは出来ます。
YouTubeなどの動画を見ているほんの隙間にSNSなどに登録してみましょう。
決して名前を明かす必要はないのです。
少しの勇気や行動が、あなたの人生を大きく変えるきっかけになるかもしれません。
最後にもう一度付け加えておきます。
依存症に苦しんでいるのは、あなただけではないのです。