元依存症でも転職は可能なのか?
元依存症者の方や依存症の問題持つ方が、社会復帰のために転職活動をする際に不安になる問いはこのことでしょう。
転職をする際に自身の過去の依存症の問題を気にしている方は、多いですが採用をするのはあなたではありません。
結局のところ、転職できるのかどうかは、自分で選択できるわけではないため天に任せる他ありません。
しかし、転職活動に向けて自分自身を成長させて市場価値を高めることは可能ですし、社会復帰に向けてマインドを変化させることも可能です。
この記事では、依存症者でも転職は十分に可能だということを解説します。
また、転職に向けて具体的に努力できる部分を紹介します。
目次
依存症で会社を辞めた人に転職は難しい?
依存症で会社を辞めたという過去があっても、転職が難しくなるという要因にはなりません。
履歴書にわざわざ過去の病歴を記載する必要はありませんし、面接時に自ら依存症であることを伝える必要もありません。
そのため、「依存症で」仕事を退職したという事実は、基本的に公になることは無いのです。
自身の市場価値の評価の中に入らない以上は、過去に依存症の問題があったとしても転職に不利になることはありません。
ただし、「前職を辞めた理由」は、多くの転職面接では質問されるのでその回答は用意しておくべきでしょう。
依存症は、確かに世間体の良くない問題ではあります。
しかし、依存症から回復した方がその過去について悩み、転職に不利になるかもしれないと不安になる必要はありません。
依存症から回復した方は、自信を持って転職活動をおこないましょう。
転職面接では依存症について触れるべき?
前職を辞めた理由で明確な答えが無い場合は、依存症に触れることも検討しましょう。
自身の過去については、可能な限り誠実に答えることが人間としての信用度を上げます。
わざわざ嘘をついて面接官からの好感度を上げようとするよりは、正直に過去の依存症の問題があったことを答える方が誠実な態度に映ります。
自ら自己紹介として依存症の過去を伝える必要はありませんが、質問されたなら誠実に答えるのも一つの選択です。
転職の面接では、これまでの経歴を深い部分まで質問されます。
「転職を決めた理由」「前職を辞めた理由」「会社にどのような利益をあたえられえるか」「資格やスキル」など、面接で聞かれる定番の質問への答えはある程度用意しておくとよいでしょう。
そして、大事なことは全ての質問に対して誠実に答えることです。
転職面接では依存症をどのように乗り越えたのか語る
転職の面接で前職を辞めた理由を聞かれた場合、依存症の過去を正直に答えるのも一つの選択だと解説しました。
しかし、単に過去の問題を伝えるだけではいけません。
大事なのは、自分自身の問題にどのように向き合って、どのようにその問題を乗り越えたのか語るべきです。
仕事でも個人の人生でも同様に、あらゆる問題や困難に直面します。
個人でも経営でも、困難に直面した時に、どのように乗り越えるかが試されます。
過去に依存症の問題という困難をどのように乗り越えたかを語ることが、採用を担当している面接官や役員の心に届けば会社にとって有益な人材だと認められるでしょう。
あなたは、自分が困難に直面した時にどのようにその困難に向き合いましたか?
そして、どのような考え方でその困難を乗り越えようとしましたか?
今現在は、その困難を乗り越えていますか?
困難を乗り越えたことで何を得ましたか?
自分自身が困難を乗り越えた物語を正直に語ることが、面接官や役員を担う人間の心を動かすものなのです。
面接で依存症の話をしておけば働きやすい環境になる
面接の際に自身の依存症の話をしておくと、働き始めてから過ごしやすい環境を作り上げることにもなります。
筆者の場合、アルコール依存症の原因が上司やクライアントからのお酒の誘いを断ることができないことでした。
筆者にとって、最も大事なことは素面の状態を保つことでした。
仕事よりも優先事項だったため、転職の面接ではそのことをきちんと伝えていました。
そして、その会社から内定をもらった後も、歓送迎会や年末年始の飲み会などには参加せずに飲まずに過ごすことができました。
依存症の問題を面接時に話すことは、内定を得て働き始めるまでは厳しいですが、働き始めると比較的楽な環境で働く事ができるようになります。
就職するまでの入り口を広くするのか、入り口は狭くても入ってから楽な環境にするかはあなた次第です。
依存症の問題を面接で語ったとしても、転職に成功する例がある事だけはここに明記しておきます。
資格の取得やキャリアを積んで市場価値を高める
依存症者でも努力をして資格の取得やキャリアを積んでいけば、市場価値を高めることが可能になります。
転職活動をする際に、各会社の募集要項を見ると、必須の資格や取得していることを推奨されるスキルが公表されていることがあります。
求人サイトを確認して、どのような資格が転職市場に有益なのか調べてみましょう。
資格を取得するための勉強や、スキルを高めるための努力は、誰に邪魔される訳でもありません。
自身自身のやる気と時間を割けば、自身の市場価値を高めることができます。
ここからは、個人の市場価値を高めるために取得すべき資格やスキルを具体的に紹介します。
今後の社会の変容や時流にも合ったものを紹介しますので、参考にして行動に移してみましょう。
webマーケティング技術を学ぶ
webマーケティング技術を学ぶのは、今後の社会の中では必須だと言えます。
リモートワークの推奨や、自宅で時間を過ごすことが多くなった社会では、商品やサービスの販売はネットを通じて行われるようになりました。
ネットからの購入が多くなった社会で必要とされるのは、webマーケティングのスキルです。
どのような会社でも、ITをベースにする時代になっています。
ITをベースにしていない会社は、今後残らないと言っても良いでしょう。
つまり、全ての会社でITを基礎とすることになれば、システムを構築するエンジニアやプログラマーの需要は増えますし、インターネットを通じて商品やサービスを販売する人材は需要が増えるということでもあります。
webマーケティングのスキルや知識を得ている人は、どのような職種や業界でも重宝される存在になれるのです。
ITを苦手とする方でも、webマーケティングの知識を得るのにそこまで時間はかかりません。
まずは、webマーケティングの知識やスキルを得て、どのような会社でも通用できるスキルを身に付けましょう。
簿記の資格を通して会計の知識を得る
転職市場で存在価値を高めるためには、会計の知識を得ましょう。
会計など、会社のお金の流れを把握するためには、簿記の資格を取得することが効率的です。
簿記の資格は1級から3級まであり、グレードを高めていけば会計士にもなれる資格です。
しかし、簿記の資格はなにも会計士になるためだけに必要な訳ではありません。
簿記を学ぶことで、会社のお金の流れを把握することができます。
このスキルは、会社の経営状態を知ることもできますし、新しい企画の提案などもお金の流れの視点を踏まえてプレゼンできます。
既に会社に属している方でも、ステップアップのチャンスに繋がりますし、これから転職を考えている方でもスキルを客観的に証明できます。
会計のスキルは、全ての会社で共通のルールにしたがって行われなければいけません。
したがって、全ての会社で必要とされます。
AIの技術が進んで会計士が必要なくなるという意見もありますが、それは計算を自動化させるだけのことであり、会計や簿記の知識が不要になるということを意味しません。
転職時に自身の市場価値を高めるのであれば、簿記の資格取得のための学習をしましょう。
コミュニケーション能力を鍛える
市場価値を高めるためには、コミュニケーションの能力を鍛えることも大事です。
依存症者の多くは、性格上シャイで人とのコミュニケーションを苦手とする方も多いです。
しかし、テレワークで仕事をするにしても、個人事業主として働くにしても、人とのつながりを完全に遮断して仕事を続けていくことはできません。
コミュニケーションの能力を高めるために効率的な方法は、転職活動の面接を何度も挑戦することです。
当然のことですが、面接のない転職活動はありません。
面接では面接官と会話をすることになりますし、さまざまな質問に対応することになります。
転職活動で1回や2回の面接ですぐに内定がもらえれば、それはそれで幸運なことです。
しかし、1回や2回の面接で仕事が決まるほど転職は簡単ではありません。
何度でも面接をして初めて内定を得られるものです。
実は、何度となく面接をして、さまざまな面接官と会話をすることや、あらゆる質問に対応していく過程こそコミュニケーション能力を高めるレッスンでもあります。
例えば、営業を担う人材は、数多くの営業を重ねて初めて一つの契約を得るものです。
何度か断られることに落ち込んでいたら、成立しません。
転職の面接で何度も断られながらも前向きに次の面接に向かうことで、営業で必要な根気強さも身に付きます。
バックオフィスを担う人材でも、取引先や経営者との間の仲介的な役割をすることにもなります。
仕事を円滑に進めるためには、どうしてもコミュニケーション能力は必要になります。
転職活動はコミュニケーション能力を鍛えながら行うと考えれば、一石二鳥です。
英語か日本語以外の外国語を習得する
英語や日本語以外の言語を習得することは、転職活動に大きく貢献します。
国際的なコミュニケーション言語は英語で固定されてきています。
国際社会を経済的にも政治的にも引っ張る国の多くが英語を用いているからです。
追随している国々も英語の教育に力を入れているため、英語は国際的な標準語として成り立っています。
つまり、英語をビジネス会話レベルで話せるようになれば、海外との交渉などでも有益な人材として認められます。
グローバル社会では、英語をコミュニケーション言語としているため、英語がわからない日本人との仲介者にもなれるのです。
英語の勉強が難しいからは、他の国の言語を学ぶこともおすすめします。
自分自身が好きな国や興味のある国の言葉で大丈夫です。
言語の習得には時間がかかりますし、その国を好きでなければモチベーションを長期間保つことは難しいからです。
どこの国の言語でも習得すれば、需要は増えていきます。
特に、アジアやアフリカの新興国は、これからの成長が多いに期待できる地域です。
これらの地域の言語を学ぶことで、日本の企業と橋渡しのできる人材になれば、転職活動の際に個人としての市場価値は大きく上がっていくでしょう。
海外を旅してみることも、自分自身の発見として有益な経験になるかもしれません。
最新技術に注目する
転職活動をする上で大事なことは、最新の技術にも注目しておくことです。
日経新聞などで紹介されている最新技術は自分自身に関係ないと考えて無視してしまいがちです。
しかし、それらの最新技術が自身の生活に浸透するのは、日を追うごとに急速化しています。
例えば、携帯電話の普及率は、1996年に867万台でしたが、2019年には1億8000万台弱まで増加しています。
つまり、23年で20倍に需要が増えていることを意味します。
この間に日本国内の人口は減少傾向にありますので、携帯電話の需要が大きく伸びたことを意味します。
携帯電話の普及によって、さらに需要が伸びたのはインターネットを基盤としたサービスです。
SNSやアプリケーションの普及は、スマホが登場してから急速な進化と需要を伸ばしています。
最新技術の普及の速度は、早く個人の生活に浸透するのに時間がかかりません。
つまり、そういった最新技術を仕事に活かすことがビジネスチャンスだとも言えます。
特に現在では、AIを活かした仕事が急速に普及してはじめています。
AIなどの分野の知識と、ビジネスや個人の生活にどのように浸透しているのか把握しておけば、将来の転職活動に活かすことも可能になります。
最新技術には常に興味を持つようにしておきましょう。
転職サイトを見ると市場のニーズも把握できる
転職活動をするに際して、まずは転職サイトをざっと見渡してみることで市場のニーズを把握することができるようになります。
転職サイトには求人情報だけではなく、各会社がどのような人材を欲しているのか詳しく書かれています。
会社の理念や必要とする人材の資格やスキルも書かれています。
また、職種別に初任給や平均年収も記載されているため、どのような職種がどのくらいの給料をもらえるのか把握することにもつながります。
給料面や資格・スキルのニーズを知ることで、今後の自身の方向性も決定できます。
自身がやりたい仕事が見つかったら、その仕事に見合った資格やスキルを得ることに集中しましょう。
社会の大まかな流れを把握することができれば、将来を見据えて転職活動をすることも可能です。
転職サイトの求人を見渡すことは、自身の将来性を方向づけるためにも、社会がどのような人材を必要としていて、どのように変化しているのか把握するためにもおこないましょう。
副業はお金をもらいながらキャリアを積みスキルも磨ける
転職活動をおこなうために、副業でキャリアを積み、スキルを磨くことも大事です。
現在正社員として働いていて、将来に転職を考えている方は副業でスキルを磨いておくことも大事です。
副業にはさまざまな種類があり、プログラミングやライティング、デザインなどスキルを必要とする仕事が多いです。
副業は、収入を増やしてくれるだけではなく、キャリアや新しいスキルを付けて自分自身を成長させてくれます。
副業を選択する際には、最初は収入が少なくても、将来的に自分自身の役に立つスキルが身につく仕事を選びましょう。
転売などを副業としている方もいます。
一時的にお金を稼ぐことができますが、デメリットなのはキャリアとしてもスキルとしても価値を築けない部分です。
プログラミングやライティング、webデザインや動画編集などは、キャリアとしてweb上にこれまでの仕事が残るだけではなく、自分自身のスキルを磨くことにも繋がります。
副業に関して詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
自分の人生の目的は何か問うてみる
転職を通してやらなければいけないことは、自分の人生の目的とは何かを自分自身に問うてみることです。
転職サイトの求人や会社の情報を見ていると、その会社がどのような理念を持って、社会に対してどのように関わっていきたいのか分かります。
会社にはそれぞれに理念として社会に対する使命を持っています。
例えば、ソフトバンクの理念は、「情報革命で人々を幸せに」することです。
まさにソフトバンクは、この理念に沿った経営をしています。
こういった、会社の理念を見ることで、自分自身が何をしたいのか分かるようになっていきます。
実は、転職活動をはじめても、単に給料面の事だけを気にして会社に入ったらすぐに嫌になって辞めてしまう、というケースは多くあります。
転職活動を通して、自分自身が人生を賭して行っていきたい仕事は何か知ることが最も大事です。
自分自身の人生の目的は何か、今一度自分に問いかけてみましょう。
この答えが見つかれば、人生に迷うことも無くなりますし、転職活動にも不安や恐怖が無くなり面接時でも自信がある人材に見えます。
依存症者にとって、回復後の人生は第二の人生です。
あなたは授かった第二の人生で何をしたいのですか?
転職のプロに相談してみるのも検討すべき
転職は、その後の人生に対して大きな影響が及びます。
自身の周りに転職や今後の人生について相談することが出来ない場合は、転職のプロに相談することも検討しましょう。
実際に、転職市場について把握しているのは、プロの転職エージェントです。
また、転職エージェントに相談することは、自分自身の長所を客観的に評価してくれます。
そのため、自分では気づくことができなかった、自分自身の新しい側面に気づけます。
転職エージェントと話すことは、焦っている気持ちや不安な気持ちも落ち着けてくれますので精神が安定しない方にもおすすめです。
依存症に関わる悩みは、カウンセラーや共に断酒をしている仲間に相談すべきですが、転職に関しては転職の専門家に相談をするようにしましょう。
転職サイトに登録することは無料ですし、カウンセリングもきちんとしてくれます。
転職や将来に不安感がある方は、転職のプロに相談することも検討しましょう。
何度でも挑戦することが大事
転職活動は、落とされてたとしても何度でも挑戦することが大事です。
先ほども「コミュニケーション能力を鍛える」部分で解説しましたが、転職活動で困難にであっても、何度でも挑戦しましょう。
その過程で得られる知識やスキル、そして鍛えられる精神力は自分自身を大きく成長させてくれます。
多くの方が、1社や2社で面接までこぎつけたものの落とされてしまい落ち込んでしまいます。
はっきり言って、そんな少ない挑戦数では受からないのは当然です。
筆者の場合、転職サイトを通して履歴書を送った会社の数は100社を超えています。
そして、面接までこぎつけたのは約20社であり、内定をいただきたのは3社でした。
転職は、何度でも挑戦すればいつかは必ずあなたを求めている会社はあります。
自分自身が会社にもたらせる長所をブランドとして、数多くの会社に挑戦してみて下さい。
挑戦を重ねるたびに、自分の長所を見つけ出すこともできますし、面接にも慣れてきます。
人と話すことにも慣れてきますので、諦めることなく何枚でも履歴書を送ってみて、何社でも面接を受けてみましょう。
まとめ
依存症者でも転職に不利になることはありません。
むしろ、過去の失敗を乗り越えることで成長しているあなたなら、転職活動も乗り越えられます。
しかし、転職は雇う側もいる事である以上、最終的には天に任せる他ありません。
変えられるのは自分自身の能力だけです。
転職活動をおこなう際には、まず転職サイトなどでどのような会社からどのような求人が出ているのか全体的に眺めるように確認します。
そのことで、転職市場が求める人物像や必要な資格・スキルなども把握できます。
また、それぞれの会社の理念や方針を知ることで、自分自身の人生の目的や将来の方向性も明確化します。
まずは、転職市場にはどのような求人があるのか確認してみましょう。
自分自身の人生の目的や、働きたい会社が見つかったら全力で何枚でも履歴書を送り、何度でも面接を受けてみましょう。
そのプロセスですら学ぶことはたくさんあります。
今現在正社員として働いている方は、副業として転職や将来の仕事に向けてスキルを高めることもおすすめします。
自身の成長に繋がるスキルを身につければ、転職活動の助けにもなります。
誰でも将来の不安感はあります。
依存症で全てを無くしてしまったような方なら尚更です。
しかし、自分自身が今この時にできる努力は最大限していきましょう。
依存症によって人生の挫折を味わったとしても、その教訓によって大きく成長できるチャンスでもあります。
ピンチをチャンスに変えられるのは他ならないあなただけです。