アルコール依存症と鬱(うつ)病は二つに一つと言われれほど併発しやすい症状です。
アルコールによって併発された鬱病は断酒を継続していけば、徐々に回復していきます。
しかしながら、精神的な面は身体的な面に比べると改善の速度はゆっくりとしているのが特徴です。
精神的な面は、目に見える部分でもなく問題の所在がわかりにくくなっています。
しかも、人間の感情は常に変化しているため、平静を保つことすらも簡単ではありません。
精神的な部分、特にうつ症状は、その症状を本人が言葉にすることすらも困難です。
本来は快活だった人や、特に精神的な問題を抱えていなかった人でも、アルコールによって精神にダメージを与えてしまうことは多くあります。
うつ状態にいると、もう暗い未来しか想像することが出来なくなり希望は消え失せます。
しかし、大丈夫です。
アルコールによる精神的なうつ症状はアルコールを断てば、改善していきます。
この記事では、アルコール依存症からくるうつ病の症状は断酒を継続することによって改善していくということを、筆者や筆者の仲間の実際の経験から証明します。
この記事は
・アルコール依存症による鬱(うつ)病に苦しんでいる人
・アルコールを飲んだ次の日に、不快な感情を感じた人
に向けて書かれています。
目次
精神的な側面の回復
アルコール依存症者の回復には主に二つの側面があります。
身体的な側面と精神的な側面です。
身体的な側面に関してはこちらの記事で紹介しています。
アルコール依存症者の精神的な側面も断酒を継続させることで徐々に良くなっていきます。
もちろん、人間は感情のある動物である以上、断酒を継続したからと言って不快な感情がなくなるということはありません。
しかし、アルコールを断つことで、「不要な」不安感や恐怖感、妬みや嫉みなどに関しては消えていきます。
今この一瞬、アルコールへの欲求から逃れることが出来れば、精神的な安定へと徐々に近づいていくのです。
不安感や恐怖感からの解放
アルコールを断てば、不安感や恐怖感から解放されます。
アルコール依存症による鬱症状で最も多いと言われているものに、「不安感」や「恐怖感」が挙げられます。
これらの感情は、現実のものから本人が勝手に想像しているものまで様々です。
言葉にすることが困難な得体のしれない感情もこれらに当たります。
心理学的に言えば、これらの感情は自分自身を守るために起こる感情でもあります。
しかし、アルコール依存症者は、普通の人よりも敏感にこういった感情を感じてしまうために耐えがたい苦しみが襲ってくるのです。
アルコール依存症の回復者であり、断酒歴が長ければ長いほど再飲酒につながりにくくなるのはこれらの感情が弱まるという点にあります。
アルコールの問題によって苦しめられた精神は、アルコールを断つことでゆっくりではありますが回復していくのです。
アルコール依存症の先輩たちが証明してくれています。
集中力の向上
アルコールを断つことで、集中力が高まります。
先述した通り、アルコールを断つことで精神的な安定感が保たれるために必然的に集中力も増すのです。
私は入院期間が3か月間ありました。
長期の入院のために、何冊も本を持ち込みましたしDVDとパソコンも持っていきました。
しかしながら、何をしている間も面白味を感じることがなく本を読み終えることも、DVDでドラマのシリーズを見終えることも出来ませんでした。
何をしていても気が散って仕方がないのです。
もちろん、ネガティブな想像によって軽く打つ症状が続いていました。
しかし、アルコールを断ってから1年、2年経つと不思議なことに本を読む集中力も上がってきました。
不思議なことではありますが、確実に精神面は鍛えられて自分の趣味や仕事にも集中できるようになります。
自分自身と向き合うことが出来るようになる
アルコール依存症者が断酒を続けていくと、自分自身の人生や性格などと向き合うことが出来るようになります。
アルコール依存症に限らず、啓蒙書や心理学所さらにはビジネス書でも言われていることですが「自分自身と向き合う」ということ。
しかしながら、このことは様々な点で困難になっています。
アルコール依存症者にとって、最も難しいのは自分自身の弱点や劣等感を認めることです。
むしろ、こういった性格上の欠点があったために、あるいは見ないようにするために、アルコールに頼ってきた部分があるからです。
自分自身と向き合うことは大きな成長を促します。
しかしながらアルコール依存症者にとっては、そこまでのステップに達するまでが最も難しいのです。
自分自身と向き合うためには、大きな勇気と強靭な精神的な体力が必要となるからです。
アルコールを断って時間が経過すると、精神的な安定と共に精神的な体力もついてきます。
自分自身と向き合うことが出来るほどの精神力です。
焦りもアルコールによる症状だと考えよう
アルコール依存症の治療をしていると、仕事や自分の成長などを他人と比べ始めて焦り始めることがあります。
しかし、この焦りもアルコール依存症の症状だと考えてください。
焦れば焦るほど、感情は激しく揺さぶられます。
当然のことながら、感情が激しくぶれてしまうと再飲酒につながりかねません。
焦らなくても徐々に回復はしていきます。
つまり、飲まなければ日々成長していくのです。
アルコール依存症の治療や回復に焦りは禁物です。
過去の自分よりも現在の自分は回復と成長をしていると気づくことが出来るのです。