依存症者や依存症からの回復途上にある方にとって、お金の問題は早めに解消しなければいけない問題です。
しかし、どうしてもお金の無駄使いをしてしまいがちなのが、依存症者というものです。
お金の問題解消は、節約することからはじまります。
お金の節約は、個人の意思を固める必要もありますが、テクニックを利用することも大事です。
この記事では、元依存症の筆者が、お金の管理をしながら節約していく具体的な方法を解説します。
なかなか、お金を貯めることができない方は、ぜひ参考にしてください。
目次
依存症者がお金を貯められないのは出費額を把握していないから
依存症者でお金を貯めることができない方の多くは、出費額を把握していません。
自分が依存している対象にすぐにお金をつぎ込んでしまうのです。
例えば、筆者の場合はアルコール依存症だったので、お酒に対してお金をたくさんつぎ込んでいました。
しかも、お酒を飲んでいる状態では、冷静な判断や自身の行為に対する記憶も無くなっています。
その状態では、お酒以外にもいろいろな部分にお金を使ってしまうものです。
人の注目をひくために多くの人にお酒を奢ったり、寂しさから風俗や接待を伴う飲み屋にお金を使ってしまったりなどです。
そして、それらの出費がいくらかは把握することはできません。
銀行にある預金額は、単に数字に過ぎずお金が尽きるまで浪費します。
銀行の預金は、いくらまでお酒を飲めるのか?いくらまで遊べるのか?
という頭で日々の生活費を計算しています。
こういった生活をしていれば、自身の出費額を把握することなどできません。
せいぜい、銀行預金が0円になるまでどのくらいのお金が残っているかどうかしか把握できません。
出費額を把握していない状態では、出費を抑えることなどできません。
そのため、将来を見据えてお金を貯めることができないのです。
依存症の回復過程では、自身の出費を把握する事からはじめましょう。
出費額が把握できれば、きちんとした貯蓄もできるようになります。
生活費を把握するための家計簿をつけるべき
自身の生活費を把握するためには、家計簿をつけて支出と収入のバランスを集計することは必須です。
家計簿は近くの100円ショップや文具店などで購入できます。
毎日、地道に家計簿を付けていけば、自分自身の出費を把握することも可能です。
出費を把握する事ができれば、自身が不必要に出費している問題部分を見出せます。
不必要な出費を無くしていくことで、月々の収入から貯蓄にまわすことができる金額も増えていきます。
収入に比べて支出を抑えることは容易なので、手元に残るお金は短期的に増加します。
出費を減らして貯蓄を増やすためには、家計簿をつけて出費を把握するようにしましょう。
ノート型の家計簿のデメリット
ノート型の家計簿には、デメリットもあります。
ノート型の家計簿は、自分自身で出費や収入の金額を手で記入しなければいけません。
また、買い物のたびにレシートを集めて、出費ジャンル別に分けていく必要もあります。
実は、こういった地道な行動が生活費の把握に役立つものですが、非常に面倒でもあり根気が必要です。
やる気のある初期なら続けられますが、時間が経過してモチベーションが下がってくると、いつの間にか家計簿の記入を止めてしまいます。
生活費はいつまでもかかります。
家計簿を付けなくなれば、すぐに出費の把握も難しくなってしまうものなのです。
地道な作業が苦手な人や、忙しくて日々の生活費の記入ができない方にはノート型の家計簿は続けることが難しいのがデメリットです。
家計簿アプリで自動化がおすすめ
家計簿にはノート型だけではなく、スマホアプリでも無料ダウンロードできます。
筆者が使用しているのは、「MoneyForward」という家計簿アプリです。
このアプリを使って日々の生活費を計算しています。
初期設定が少し面倒で、預金や給料の受け取りに使用している銀行の情報、クレジットカードや電子マネーの情報を入力します。
この初期設定がすべて済んでしまえば、銀行の入出金だけではなく、クレジットカードや電子マネーの使用履歴もすべて自動で家計簿に記載されます。
用途も「食費」や「娯楽費」などと自動で分類してくれるため、自分の出費内容をすべて把握することができます。
ノート型の家計簿とは異なり、買い物をしたらすべて自動なので、レシートを保存しておく必要もないですし、日々の出費をノートに記載する必要もありません。
会計をすべてクレジットカードか電子マネー、あるいは銀行振込にしておけば、月々の出費額や月別の出費額の比較も可能です。
無料の家計簿アプリを使って継続的に生活費の把握をしていきましょう。
スマホにダウンロードしたアプリなら365日、いつでもどこでもアプリを開くだけで生活費を確認できます。
怠惰な方でも、家計簿を継続的につけられます。
見直しをすべき主な5つの出費
生活費の見直しをしたら、不要な出費を確認して削るようにしましょう。
自身の生活費を把握すると、無駄に使用していた費用も見出せます。
この不要な支出を減らせば、当然のことですが手元に残るお金は増えます。
実際に筆者も自身の生活費の見直しをすることで、かなりの不要な出費を削ることに成功しました。
その効果は50,000円以上です。
短期間で収入を50,000円増やすことは難しいですが、生活費を50,000円減らすことは簡単です。
ここからは具体的に見なすべき出費を見ていきましょう。
出費のジャンルを以下のように分類しています。
- 食費
- 通信費
- 光熱費
- 交通費
- 娯楽費
生活スタイルは個人によって異なります。
まずは、絶対に減らすことはできない出費の優先順位も付けておき、不要と考えられる部分を減らしていくことが節約のコツです。
出費の見直しをしたら、収入を増やすための努力も始められます。
自炊して食費を節約
食事はきちんと摂らなければいけないため、食費は生活に必要な支出です。
しかし、食費はいつの間にかた高額の出費をしてしまう部分でもあります。
例えば、自炊するのと外食するのとでは、出費額は大きく異なります。
毎日のように外食をしている人は、食費としての出費が高額です。
私が会社に勤めていた頃は、朝昼晩の食事をほとんど外食で済ませていました。
そのほとんどが松屋や吉野家、ラーメン屋などの比較的安価なお店です。
しかし、そんな比較的に安価な店舗を選んだとしても、月々にかかる食費は多い時で60,000円を超えていました。
少ない時でも40,000円を切る月はありませんでした。
食費を抑えるためにおこなったことは、外食や出前を減らして自炊をする努力です。
買い物はコンビニエンスストアを避けて、スーパーマーケットのポイント還元日や割引日を狙って買いだめしておきました。
このことによって、月々の食費は現在で平均25,000円まで減らすことができました。
かつての食費を平均で50,000円とすると、現在は毎月25,000円の節約になっています。
会社勤めの方も、自分で作ったお弁当を持参すれば、朝昼晩すべての食事を自炊で安く抑えられます。
私の場合は、苦手だった料理を覚えることができましたし、筋トレをしているので栄養バランスを考えた食事をするようにもなりました。
ちなみに、筋トレをしている人の多くは、鶏肉が主な食事になるためコストパフォーマンスはさらに良くなります。
健康と節約の一石二鳥の方法です。
通信費を見直して節約
実は通信費も毎月の支払いの大きな割合を占めています。
特に携帯電話料金は見直すべきポイントでしょう。
私の携帯電話使用履歴を見ると、過去(2018年当時)の月々の支払い料金は20,000円弱でした。
これには通話料や各種オプション、端末の分割支払い費用も含まれています。
使っている携帯電話では、YouTubeやネットを使用するためのデータ量は毎月半分以上残っていましたし、通話をすることもほとんどありませんでした。
つまり、私は自身で使っていないサービスのために、高額な通信費を毎月支払い続けていたということです。
現在(2021年)では、携帯電話キャリア各社で格安プランも発表されています。
私は携帯電話の新料金プランに変えたため、毎月の支払いは3,000円以下です。
もちろん、端末の分割支払い費用も返済し終わっている状態です。
新料金プランにしても、使いにくくなる部分はありません。
携帯電話の料金プランを自分に合ったものにしただけで、約17,000円も節約できています。
携帯電話の新料金プランは、インターネットを通して自分一人で発注しなければいけません。
ネットの扱いに苦手意識があると、この節約ができません。
新料金プランのネット注文は、特に難しいものではありません。
YouTubeの動画やブログなどで、詳しく注文方法を発信しているコンテンツもあります。
ネット注文に苦手意識がある人でも大丈夫です。
通信費は少しの手間で大きな効果が期待できます。
また、家の電話も必要なければ解約してしまっても良いでしょう。
自宅の電話は、クレジットカードなど各種の契約時に信用度を上げるために書き込むこともありますが、携帯電話だけでも不便の無い生活はできます。
無駄な光熱費を減らして節約
無駄な光熱費を減らして節約することも考えましょう。
実は光熱費は、なかなか節約が難しい費用でもあります。
筆者の場合は、夏のエアコン費用がかなり高額になっていました。
あまりにも暑い日は、熱中症にも気を付けなければいけません。
筆者の場合、日中家で過ごす際にエアコンをつけっぱなしにして生活していました。
この頃の夏の電気料金は、15,000円を超えていました。
熱帯夜では、クーラー無しで寝ることができなかったので、夜を通してエアコンを低温設定にしていました。
寝起きはあまりよくありません。
体中が痛くなるのと、のどが痛くなりました。
あまりにも夏季のエアコン費用が高額になったため、次の夏からはエアコンをなるべく利用せずに窓を全開にして生活していました。
もちろん、これでも座っているだけで汗をかいてしまうほどの暑さでした。
しかし、そのころからの電気料金は10,000円を切っています。
また、ある程度の健康的な生活もできます。
光熱費の節約は難しいですが、ある程度の我慢をすることで大幅に電気料金を抑えることもできます。
後述しますが、光熱費を抑えるための方法は、同一クレジットカードでまとめることも節約方法です。
移動に自転車を活用して交通費節約
交通費を抑えてお金の節約をすることも可能です。
会社に勤めている方は、交通費が支給されている方も多いでしょう。
私の場合は、会社に属していない時期に交通費も馬鹿にならないくらい生活費を圧迫していました。
アルコール依存症から回復するために通っていた自助会に行くにも交通費はかかるため、必要経費として考えていました。
しかし、貯金が無くなってくると、自助会に通うための交通費も支払いが難しくなりました。
月々10,000円程度の定期券の購入すらできなくなってしたのです。
そこで、交通費を削るために考えたのが、自助会へ通うために自転車を利用することです。
筆者の家から自助会のある会場へ行くのに片道で約20kmありました。
往復で40kmあるこの道のりを自転車で通うことにより、定期券購入のための支出を抑えました。
もちろん、雨の日などの様に自転車で通う事ができない日には、電車料金がかかりますし、自転車が故障すれば修理や買い替えも必要です。
しかし単純計算すると、自分の行動範囲をなるべく自転車にすれば、その分だけ交通費が抑えられます。
また、会社勤めで交通費が支給される方なら、交通費も収入として得られます。
自転車での通勤や移動はお金の節約だけではなく、エクササイズにもつながり心身ともに健康を保てます。
自転車での移動を多くすることも一石二鳥以上の効果を期待できます。
娯楽費としてのサブスクリプションサービスにご用心
依存症者が最もお金をつぎ込んでしまいがちなのが、娯楽費です。
ギャンブルやお酒に依存している方の多くは、娯楽費に大金をつぎ込んでいたことは記憶に新しいでしょう。
もちろん、これらの依存から回復することなしに、娯楽費の節約はできません。
依存の問題に苦しんでいる方は、お金の問題の前にギャンブルやアルコールなどの依存症の治療に集中しましょう。
依存症の問題から回復すると、娯楽費へのお金はかなり抑えられるようになります。
筆者の場合は、給料のほとんどをお酒につぎ込んでいたので、かなり支出が減りました。
自身の依存症の問題から安定しても、さらに娯楽費を見直すのは大事です。
特に、サブスクリプションサービスの見直しは大事です。
月々の支払いは、毎月の費用も低額でありお得をした気分になります。
しかし、月々の決まった支出ほど、自身の生活費に響くものはありません。
不要なサブスクリプションサービスに加入していないか確認しましょう。
例えば、エクササイズのために事務を利用している方は、市民体育館などに変えることができないのか検討しましょう。
24時間使い放題の月額8,800円のジムから、1回の使用に対して200円×月12回=2,400円の市民体育館にすることによって6,400円の節約です。
他にも、ビデオ配信サービスなどもサブスクリプションサービスです。
一見お得に見えるサービスも自身が使用することが無ければ不必要な浪費です。
加入しているサブスクリプションサービスの中で不要なサービスがあれば、契約を解除してお金の節約をしましょう。
クレジットカードや電子マネーは節約効果が高い
クレジットカードや電子マネーを使うことによって節約効果は大きく上がります。
日本国内は、多くの場所で現金会計をする店舗が残っています。
また、現金を持ち歩く人も多いのも事実です。
お金を使いすぎてしまう依存症の方の中には、クレジットカードを持つことで「使いすぎで自己破産までしてしまう」という不安感を持っている人もいるでしょう。
この不安感から、現金からクレジットカードに移行しない人もいます。
しかし、先ほども家計簿アプリで紹介した通り、クレジットカードや電子マネーの方がお金の支出や使い道を「見える化」することができます。
そのため、クレジットカードの使いすぎも目で見て自制することも可能です。
また、ポイントの還元もついているので、毎月の公共料金支払いでも自動でポイントが貯まっていきます。
クレジットカードでポイント活動をしよう
クレジットカードのポイント還元で、お得に欲しい商品やサービスを購入するポイ活もしましょう。
クレジットカードや電子マネーの支払いにすれば、利用のたびにポイントが還元されます。
このポイント還元率は、クレジットカードの種類によって異なりますが、年会費無料のクレジットカードだと1%還元される種類もあります。
毎月の生活費の支払いに100,000円かかっている方は、現金と同じように使うことができるポイントを毎月1,000円分還元されます。
また、クレジットカードや電子マネーはキャンペーンでポイントを受け取るチャンスが数多く存在します。
貯まったポイントで欲しかった商品やサービスを購入すれば、自腹で支払うよりもお得なことは言わずもがなでしょう。
買い物に使うお金を抑えられると、かなり生活費も楽になります。
カード会社によってはポイントサイトを設置しているところもあり、ポイントサイト経由で買い物をすれば、ポイント還元率もさらに高くなります。
現金で買い物をしている方は、クレジットカードや電子マネーに移行させて、お得なポイント活動を始めましょう。
家計簿アプリと連携させれば出費の把握が簡単
クレジットカードや電子マネーは、無料アプリの「MoneyForward」に連携させることができます。
支出が多い月には、注意を促してくれますし支払いバランスに対してもアプリが自動でアドバイスをしてくれます。
支払いや収入などの自身のお金の流れをすべてアプリと連携させれば、家計簿を作ることも簡単ですし、出費の計算をするのも容易です。
現金を持ち歩くことが無ければ、財布を無くしてしまう心配がなくなります。
また、レジに並んでいる時やウィンドーショッピングのつもりが衝動買いをしてしまった、などの計画していない出費も無くすことができます。
断捨離をして生活をミニマムにしよう
無駄な生活費を抑えるためには、部屋の掃除や断捨離も実は有効な手段です。
家の中には、棚の奥の方にしまってある使っていない道具がたくさんあります。
例えば、文房具はどうでしょう。
ボールペンやシャープペンシルは、使うことが多くても、使おうとするとなかなか手元にないものです。
文房具の一つひとつは低額なので、手元に無いとすぐに購入してしまいがちです。
そして、使用した後はどこかにしまったまま、再度必要になった時に取り出すことができなくなってしまいます。
文房具に限らず、家の中にある不要なものは断捨離してしまって身軽にすると気持ちも晴れやかになります。
メルカリやネットオークションで売れるものがあれば、お金ももらえて断捨離もできるので一石二鳥です。
依存症者の頭の中は、複雑になってしまいがちです。
部屋の中がスッキリと片付いていると、気持ちも爽快になります。
部屋の中をキレイにして、頭の中もスッキリとした状態を保つようにしましょう。
節約をすることは自分に向き合うことでもある
依存症から回復するために行わなければいけないことは、自分自身の生活を見直すという事です。
お金の問題は、自分自身の生活を見直す上で避けては通れない部分です。
特に、依存症から回復途上にある人々の多くは、お金の問題で困っています。
お金の問題は、精神的にも大きな影響があるために、直視する事を避けてしまう方もいるでしょう。
しかし、お金の問題を解消するための方法はただ一つ。
自分のお金の問題に正面から向き合うことです。
依存症の問題から回復するためには、自分自身の生活や性格、これまでの経験など全ての要素に目を向ける必要があります。
お金の問題は、自分自身の生活に浸透しています。
自分自身のお金の使い方を見直すことは、自分自身を見直すことでもあります。
自分自身のお金の問題に向き合うことで、新しい自分自身の側面を見出すこともあるでしょう。
もしも、その側面に問題があるのなら、一つひとつ直していけば良いのです。
一つひとつ直していくことが、依存症からの回復であり、よりよい生活に導いてくれることになります。
まとめ
依存症者にとって、お金の問題は避けて通れません。
しかし、依存症からの回復方法を教えている書籍やコンテンツはたくさんあるものの、具体的にお金の問題から立ち直る方法を教えてくれるものは少ないのが現状です。
依存症の問題から回復したら、お金の問題にも向き合って節約もできるようにしましょう。
特に「食費」「通信費」「光熱費」「交通費」「娯楽費」などは支出の見直しをするだけで、自身の手元に残るお金を大きく増やすことが可能です。
まずは、自身のお金の流れを見直すために、無料で使える家計簿アプリを利用しましょう。
自身の生活費を把握して支出を見直すことは、自分自身の性格や生き方、考え方を見直すことでもあります。
依存症からの回復は、自分自身を見直す過程を重視すべきです。
お金の問題に向き合い、自分自身とも向き合ってより良い生活を目指しましょう。