自分のアルコールの問題に気づいている人の中には、「もっと上手くお酒を飲めるようになりたい」と考えている人も多くいるでしょう。
書店には、お酒を問題なく飲む方法を指南してくれる本も並んでいます。
ここで取り上げるのはベストセラーになった「酒好き医師が教える 最高の飲み方」の漫画版。
漫画で描かれているので、活字も少なく読みやすいです。
しかも、問題になることのない飲み方を教えてくれるということであれば、お酒が好きな人にとってはとても参考になる本です。
しかし、注意が必要です。
アルコール依存症者に関しては、「最高の飲み方」も何もありません。
一滴でもアルコールを摂取してしまえば、過去のどん底の生活に後戻りです。
この本を読んで参考に出来るのは、今現在でもアルコールに問題のない人だけです。
この記事は
・アルコール依存症者でまだお酒を飲みたい人
・自身の酒癖が気になっている人
・「酒好き医師が教える最高の飲み方」を読んでいない人
・アルコールに問題がないけどお酒の飲み方を知りたい人
に向けて書かれています。
目次
読みやすく参考になるが依存症者に向けて書かれた本ではない
今回、紹介している漫画版の「酒好き医師が教える最高の飲み方」は、そもそも活字のみの単行本として販売されています。
この本の内容は「正しい飲み方」や「節酒の方法」などがテーマとなっています。
つまりはお酒を飲むことを前提にしている本です。
アルコール依存症者が気をつけなければいけないのは、アルコール依存症者は「正しい飲み方」や「節酒」が出来るようになる人はいないということです。
アルコール依存症者が自身の飲み方を変えることは一生出来ませんし、飲んでしまえば元の苦しい生活に後戻りしてしまいます。
しかも、アルコール依存症者の特徴として、いかなることでもお酒を飲むことの理由や言い訳に変えてしまうということです。
注意しなければいけないのは、この本はアルコール依存症にはなっていない人に向かれて書かれている本だということであり、アルコール依存症者向けには書かれていないということです。
くれぐれも、この本に書いているような1日1合以内ならお酒を飲んでも大丈夫だと言い訳をしないようにすることです。
実際に自分自身がアルコール依存症なのかどうかは、アルコール依存症チェックテストを受けてみれば把握できます。
ご自身でチェックしてみて下さい。
アルコール依存症者の最初の1杯は20杯を意味している
あなたがアルコールに問題があると認識しているのであれば、わかると思います。
私たちが1杯でもアルコールに手を伸ばしてしまえば、それは20杯程度のお酒を飲んでしまうことを意味します。
今までに、「この1杯だけ」と思いながら、あるいは宣言しながら1杯で終わったことがありますか?
もちろん、数回程度の傾向経験はあるでしょう。
しかし、結局そう時間も経たないうちに問題のある飲酒に戻ってしまうでしょう。
したがって、アルコール依存症者やアルコール依存症という診断を受けていなくても問題のある人は、1杯でも飲んではいけません。
節酒や適量のお酒を飲むということは不可能だからです。
アルコールに関する知識がエビデンスと共に解説されている
ここで、「酒好き医師が教える最高の飲み方」の目次を簡単に紹介しておきましょう。
・つらい二日酔い・悪酔いにサヨナラするには?
・お酒を飲むと太る!?太らない飲み方って?
・アルコールは「毒」!?病気との関係は…
・日本酒で肌ツヤツヤ ワインで長生き?
・実は遺伝子だった!お酒に注意いたいタイプは?
こちらの動画では、酒ジャーナリストの著者へのインタビューもしています。
どのような内容かダイジェストで知りたい人はこちらも参考にするとよいでしょう。
どの章も専門の医師による解説と、データに基づくエビデンスも提供してくれていて説得力があります。
実際に私はこの本をアルコール依存症者にすすめることは出来ませんが、一方で一般の方がお酒を飲むことを遮ることもしません。
お酒を上手に飲める人は、この本を読めば、さらに上手にお酒が飲めるようになるでしょう。
まさに「最高の飲み方」を習得できるようになります。
ここからは、「酒好き医師が教える最高の飲み方」の内容を少しだけ紹介していきます。
二日酔いや悪酔いをしない方法
この本ですすめているお酒を飲んでも二日酔いや悪酔いしない方法は食事にあります。
お酒をよく飲む人の中には、辛い二日酔いや悪酔いで後悔した経験がある人もいるでしょう。
お酒を楽しみながら、こういた後悔が無いようにするには、おつまみとして「油もの」を食べるとよいそうです。
から揚げなどの油ものを食べると、胃腸の中でアルコールが一度ストップしすぐに腸まで届きません。
アルコールの吸収は腸内で95%がなされるそうです。
胃腸内である程度、アルコールが腸内に届くスピードを抑えられれば血中のアルコール濃度の急激な上昇を抑えることが出来るようになるのです。
したがって、アルコールを飲む時は何も食べていない状態、すきっ腹の状態は絶対に避けましょう。
飲み過ぎてしまった時の対処法
飲み過ぎた時の対処法も食事にあるようです。
気を付けていても、ついつい飲み過ぎてしまうのがお酒の怖いところです。
二日酔いの時の不快感を経験して人も多いのではないでしょうか。
アルコールを飲み過ぎてしまった時の対処法もこの本では紹介しています。
食事によって、アルコールを肝臓で代謝するのを助ける成分を摂取すればよいのです。
具体的には、タコやイカ、ヒマワリの種や大豆、そして胡麻などです。
お酒を飲む時はこれらが入っている料理を意識的に食べるようにしましょう。
また、お酒を飲んでいる時は水分の摂取も忘れずに。
お酒を飲むと利尿作用によって、脱水症状になりやすくなります。
お酒を飲んでいる時はお酒の量と同程度の水を飲むようにしましょう。
自分の適量を知るということ
お酒を上手に飲むようにするには、自分の適量を知ることが最も重要です。
一般的な適量は、「一般的」でしかありません。
自分自身の適量が一般的な量と同一であるとは限りません。
ちなみに日本人の一般的な1日の適量は純アルコールで20グラムと言われています。
・純アルコール20グラム=ビール中瓶1本(500ml)or日本酒1合(180ml)orワイン2杯程度(180ml)
・「純アルコール量の計算式」アルコール度数=アルコール度数÷100×飲んだ量(ml)×0.8(エタノールの比重)
自分の適量を知るためにも、自分が飲んだ量をメモするなどして「見える化」しましょう。
そして自分がどの程度飲酒すると二日酔いになってしまうのか、具体的な量として認識しておきましょう。
そうすれば、朝起きて気分が悪いことで「飲み過ぎた」と認識するのではなく、飲んでいる間にも上手にコントロールしながら飲むことが出来るようになるでしょう。
お酒に問題が無いと思われている人は飲み方を見直そう
アルコール依存症は実際に誰にでも起こりうる病気です。この本の最後の章で触れられていますので少し抜粋します。
2013年の厚生労働省研究班の調査によると、アルコール依存症者は109万人いると推計されています。
そして、その予備軍ともいえる多量飲酒者(ハイリスク群)は980万人いると推計されています。
アルコール依存症であることは本人の意思とは関係なく、専門の医師による診断で決定します。
厚生労働省の研究班の統計は推計となっています。
つまり、病院を訪れて診断や治療を行おうとしている人は、ハイリスク群も含めて約1089万人のうちかなり少数だということがわかります。
「酒好き医師が教える最高の飲み方」を手に取って読んでみた人や、このブログを読んでいる人は何かアルコールに問題を抱えている人かもしれません。
あるいは、近しい関係で酒癖が悪い人がいる人でしょう。
少しでもアルコールに問題があると考えている人は、今なら遅くはありません。
すぐにお酒の飲み方を見直しましょう。
今回取り上げた「酒好き医師が教える最高の飲み方」では、1日の飲酒量などの上限などの提言を行っているため非常に参考になります。
アルコール依存症になってしまうと、大好きなお酒を飲むことが出来なくなってしまいます。
ましてや、「最高の飲み方」は不可能となります。
そして、既にアルコール依存症だと診断された人や自覚している人にとって、この本は参考になりません。
ここで私が「参考にならない」と言っている意味は、アルコール依存症者はあらゆる言い訳や理由をつけて飲酒をしようとするからです。
自分に都合の良い部分だけ信用して、1杯でも口をつけてしまえば連続飲酒や問題飲酒に戻るのは時間の問題です。
お酒を飲むための理由を探すことに時間を割くよりは、新しい生きがいを見つけることに時間を割きましょう。